私たちは電車から降りる。そして改札に向かっていったけれど、外は朝と同じようにどしゃ降りだったようで、地面に打ち付ける音が聞こえてくる。

 憂鬱だ。雨のせいだけじゃないのだろうけど。

 雨、ひどいね。

 なんて笑いながら伊勢谷くんは傘をさした。私の手にはしっかりと傘が握られていて、私も同じように傘をさす。

 雨の日なのに。伊勢谷くんと一緒なのに。

 なにも嬉しくなかった。相合傘じゃない分のこの距離が、もどかしくてたまらなかった。

 ……埋める気なんて。埋める勇気なんて、到底ないくせに。