「そういえば宮辺さん、猫は好き?」
「猫?」
突然のことに私は戸惑いながら声を上げる。伊勢谷くんはそんな私をちらりと見てから自分の鞄を漁り始めた。
何してるんだろう。そう思いながらやることもなしに、ぼうっとその様子を見ている。そして伊勢谷くんが取り出したのは携帯で。彼は何かを探すようにそれを弄り始めた。
「あった。これこれ」
伊勢谷くんは私に携帯の画面を見せる。そこにあったのは、ソファの上にごろりと寝転がっている猫の姿。しかもカメラ目線だったそれに、私は簡単に心奪われた。
「か、可愛い……!」
「だろ? こいつ、うちで飼ってる猫でジローって言うんだ」
伊勢谷くん、猫飼ってたんだあ。

