どうしようかなんて、考えない。普通は。これで傘に入れてもらうなんて、不用心にもほどがある。

 だけど。

 だけど気が付いたら、

 「すみません……お願いします」

 そう、言っていた。





 会話は、なかった。

 緊張していたとかそういうこともあると思うけど、何より、何を話したらいいのか。はたまた、何か話していいのかすら、わからなかった。

 そんな中、どんどんと私の家が近づいてくる。

 傘に入ってすぐ、少しだけの会話で、私と彼と、家の方面が同じだということは、わかった。それ以外何も話してないから、あとは何もわからないけれど。

 だから一応、迷惑ではない。と、言っていた。本当にそう思っているのか、表情からは判断できなくて。だけど私はなぜか、彼に甘えてしまっていた。