どうしようかなんて、考えない。普通は。これで傘に入れてもらうなんて、不用心にもほどがある。
だけど。
だけど気が付いたら、
「すみません……お願いします」
そう、言っていた。
*
会話は、なかった。
緊張していたとかそういうこともあると思うけど、何より、何を話したらいいのか。はたまた、何か話していいのかすら、わからなかった。
そんな中、どんどんと私の家が近づいてくる。
傘に入ってすぐ、少しだけの会話で、私と彼と、家の方面が同じだということは、わかった。それ以外何も話してないから、あとは何もわからないけれど。
だから一応、迷惑ではない。と、言っていた。本当にそう思っているのか、表情からは判断できなくて。だけど私はなぜか、彼に甘えてしまっていた。

