「何の話って、だって彩月……」
 「もしかして園ちゃん、勘違いしてる? 私、伊勢谷くんのことなんて好きじゃないよ?」

 へらりと笑う。心の奥を見せないように、悟らせないようにしながら。

 「ほんと、に?」

 やっと園ちゃんと目があった。園ちゃんは想像よりもずっと、泣きそうな顔をしていた。

 「うん、もちろん。……あ、私、協力するよ!」

 ああ、また、変なこと口走った。

 そのせいで私の気持ちはどん底まで下がったけれど、それと反比例するように園ちゃんの表情は明るくなっていった。

 「彩月、ありがとう」

 園ちゃんが笑顔になってくれるならもう、それでいい。それで、いいんだ。

 「私、園ちゃんに幸せになってほしいもん」

 これは本心。去年からずっと仲良くしてくれていた園ちゃんだもの。幸せになってほしくないわけなんて、ない。