そこに突如飛び込んできたのは、いま聞きたくて、それでもって一番聞きたくなかった声。顔を、上げたくなかった。だけど、
「おはよう」
声をかけられて無視するような非情な人間には、なれなかった。
私はゆっくりと顔を上げる。視界に入ってきたのはやはり彼。おまけにやんわりと微笑んでいる。
「うん、おはよう」
なんでこんなときに限って、会ってしまうんだろう。私の心はまだ、ふわふわと浮いたままなのに。
「今日はこの時間なんだね」
私は口早にそう言った。心に準備などまだ、できていなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…