そこに突如飛び込んできたのは、いま聞きたくて、それでもって一番聞きたくなかった声。顔を、上げたくなかった。だけど、 「おはよう」 声をかけられて無視するような非情な人間には、なれなかった。 私はゆっくりと顔を上げる。視界に入ってきたのはやはり彼。おまけにやんわりと微笑んでいる。 「うん、おはよう」 なんでこんなときに限って、会ってしまうんだろう。私の心はまだ、ふわふわと浮いたままなのに。 「今日はこの時間なんだね」 私は口早にそう言った。心に準備などまだ、できていなかった。