*
「また聞けなかったの!?」
うぅー、耳が痛い。
私はうつ伏せていた顔をゆっくりと上げて梓を見た。そしてまた、今度は勢いよく顔を戻す。
「だってさ、なんか、今更な気がして、聞けなくて、さ」
「はぁ?」
私の声とほぼ被るようにして梓の不機嫌そうな声が聞こえてきた。そして私の頭が鷲掴みにされて、無理矢理に顔が上げられる。
「あのね。今更って言うけど、ここまで聞いてこなかったのは誰? 彩月自身じゃん」
ぐさぐさと胸に突き刺さる。それは正鵠を射ていて、だからこそ胸が痛い。
「私、だけど……」
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