あまごい


 また、腕を掴まれる。

 私はビックリして見上げる。そこにいたのはやはり、この前の彼だった。

 「あの、」

 彼は私がここに留まる意思があるのを見ると、腕を離した。私は彼の顔を見ながら、そう重さのない鞄をぎゅっと握りしめる。

 「傘。ありがとうございました。実は今日、持ってきてなくて……。すみません」

 申し訳無さすぎて、顔が見れない。昨日までは傘、入れてたのに……。

 身長の高い彼を見上げるのは少し、辛い。それに、顔を見るのも、辛い。だから上手い焦点の置き方が分からずにいた。

 「いや、別にいいんだけど、さ」

 彼は私を見ているようだった。そして少し考えるようなしぐさをしてから、口を開く。