「今日は夏の大会の団体メンバー決めなんだ」
 「へぇー……」

 団体メンバー、って。何部なんだろう。

 私は彼の様子をちらちらと窺う。彼は眠そうにしていた顔をこちらに向けて、首をかしげた。

 「どうかした?」
 「いやっ、あの、」

 よ、よし! 聞こう!

 ぎゅっと強く握った拳。爪が食い込んで少し痛い。

 「部活、何なの?」

 聞いた……! けど、

 「あー、言わなかったけ? 俺、テニス部」

 部活の方聞いちゃった。
 部活より大事なものがあるでしょ、私。

 自分のことだけど。自分がいけないんだけど。心底呆れた。