「あ、でも、」

 だけど、梓は何か思い出したように声を発する。私はきょとんとした顔でその先の言葉を聞いた。

 「園ちゃんの元カレ、確か海南だよ」
 「そうなの!?」
 「うん、そうそう」

 そんな態度全く見せていなかった園ちゃんに、少しだけ驚く。

 そっかぁ。園ちゃんの元カレ、頭いいんだなー。

 なんて思いながら校舎を目指す。もう目と鼻の先は校内だった。

 そうして私たちは、校内に踏み行る。湿っぽい風が、私たちを包んでいるような気がした。