「わっ。……おはよう、ござい、ます?」 「おはよう」 何度見ても間違いない。私の目の前にいるのはやっぱり、例の彼だった。 ビックリして言葉がでない。だって、晴れの日に会えるなんて。いままで雨の日にしか会ったこと、なかったのに。 そこで私はやっと鞄の中のものについて思い出す。 「あ!」 そしてつい、声が漏れた。 「どうかした?」 聞かれて、悟った。もう後戻りはできないと。 私は無言で鞄を漁り始める。鞄の中で異様な存在感を放つそれを見つけるのには、苦労しなかった。