そう、「あの時」は。
あれが相合い傘だったと認識した今では、心臓はばくばくと大きな音をたてている。
「えーっ。彩月ほんとに女なの?」
身を乗り出して聞いてくる園ちゃん。私はその言葉を聞いて、頬を膨らませた。
「どうせ女っぽくないですよーだ」
だからまともに恋をしたことがないし、彼氏もできたことがないんだ。
そんなふうにすねた私を見かねたのか、園ちゃんは私の頭を撫で始める。
「大丈夫。私が保証する。なんだかんだで彩月は可愛いから!」
それ、誉め言葉?
んぐっとその言葉を押し込めて素直に園ちゃんに頭を撫でられる。これが気持ちいいって思う私って、子供なのかな?

