「それさ。一歩間違えばヤバイけどさ。逆に、惚れたりしなかったワケ?」
 「ほ、ほっ、惚れっ!?」

 それはない、と腕を大きく振りながら全身で表現する。反射的にそんなことをしてしまったけれど、正直それが本心かどうかは私でもわからなかった。

 「だって傘入ったんでしょ? 相合い傘だよ? ちょっとドキッとしません?」

 言われてみれば、確かにそうだ。私、彼と相合い傘したんだ。

 そう思うと急に恥ずかしくなってくる。なんとなくだけど、「傘に入る」っていうのと「相合い傘」っていうのとでは、大きな違いがある、と思う。
 どこが? って言われると、わからないんだけど。

 「あの時はただただ緊張してたからなぁ」