ドアーが閉まります、という独特の声が聞こえてくる。その少し前に電車に滑り込んだ私たちは、結局息を切らしていて、息を整える意味合いも込めて、座席に腰を下ろした。

 「乗れてよかったね」

 先に息を整え終わった様子の園ちゃんが私に笑みを向ける。私は、いまだに肩で息をしていたけれど、乗車したときよりは幾分か落ちついていた。

 「園ちゃん。走ってくれてありがとね」
 「えー? 別にお礼言うことじゃなくない?」

 くすくすと、笑う。それにつられて私の表情も緩んだ。