頭の中でお財布と相談してみる。いや、相談するまでもない。これは必要な出費だ。そう、コンビニに向かおうとしたとき。
「ねぇ」
腕を、掴まれる。
私はビックリして、私の腕を掴んだ人を見た。
「傘買うの、勿体なくない?」
……は?
思わず漏れそうになった声を封じ込める。だがしかし、訝しげな表情を隠すことはできなかったのか、私に話しかけてきた同年代くらいの――つまり、高校生らしき人は困ったように笑った。
困っているのは私の方……なはず。
とは、やはり言えずに、私は彼を見上げる。
「でも、傘ないと帰れないんで」