そう言いながら傘を傘立てに放りこんだ。ハート柄なんて、ちょっと子供っぽいかも。なんて、傘立てに入れてから思う。そして脳裏に浮かんだ家にある例の傘と比べて、思わずため息を吐いた。

 「そうだよね。早く傘返さないとね」

 梓は私の言葉に同意するように頷いた。そしてなにか思い付いたのか、言葉を漏らした。

 「長傘も折り畳みもないってことは、傘なかったりするかもしれないもんね」

 私ははっとして梓を見る。

 そうだ。確かに。
 え、じゃあ今日はどうするんだろう。下校時間の降水確率は90パーセントなのに……。

 「え、なに?」

 困った顔で眉を下げて梓を見て、口をパクパクさせていた私は、梓から見たら相当アホらしい顔だったのだろう。梓は眉間に皺を寄せていた。