私が思い出せる彼の特徴といったら、背が高いことと焦げ茶色っぽい髪の毛くらいなもの。だけど、
「カッコいいんじゃないかな」
雰囲気とか、なんとなく、だけど。
と、心の中でつけたす。目の前では梓が楽しそうに「へぇ」と言ったところで、カッコいいと言った自分が恥ずかしくなった。
「え、なになに? もしかして彩月、初恋?」
「そ、園ちゃん?」
梓の勢いとは比べ物にならない勢いで、園ちゃんこと、前原園美が入ってくる。
「違うからね、全然! 借りた傘をどう返そうか悩んでるだけ!!」
少しだけ顔を赤らめながらそう言うと、園ちゃんはきょとんとした顔をした。
「あ、そうなの? なーんだ」

