「園ちゃん」
ははっと笑ってみせる園ちゃん。
衝撃だった。園ちゃんが伊勢谷くんに振られたというのは。絶対に付き合うことになると思っていたからなおさら。だけどそれ以上に儚げに笑う園ちゃんを放っておくことができるはずもなくて。
私は立ち上がって園ちゃんに駆け寄った。そして一瞬ためらってから、ゆっくりと園ちゃんを抱きしめる。
「園ちゃん。無理して、笑わないで」
私の声は震えていた。
「彩月……!」
園ちゃんの声も震えていた。
誰もいない教室に園ちゃんの嗚咽だけが響く。私はこの手を離したら園ちゃんが消えてしまう気がして怖かった。こんなに儚げな、弱々しい園ちゃんなんて初めてだった。

