「園ちゃん……とりあえず、座る?」
 「うん」

 園ちゃんはゆっくりと歩いてくると、私の前の席に座って振り向いた。園ちゃんの髪は光に照らされて透き通るよう。私は思わず目を細めた。

 「あのね、」

 ああもう、タイムリミットか。

 頭の片隅でそんなことを思いながら私は今度こそ、と園ちゃんの顔を見ようとしたけれどやっぱりできなくて、首元に視線を定めた。

 「土曜日の事なんだけど、」

 心を、決めなくちゃ。笑って、お祝いできるように。

 私は拳をぎゅっと握る。手の中にかいた汗が、気持ち悪い。

 「私ね、私……」
 「うん」