授業には全くと言っていいほど集中できなかった。幸い今日は指名されることがなかったからよかったものの、数学なんかで指名されてしまっていたら大恥をかくところだっただろう。

 私は自分の席で足をゆっくりと揺らしながら空を見上げる。初夏、だからだろうか。日はまだ高い。

 教室にはもうすでに私1人だけで。園ちゃんは少し前に教室を出て行ってしまったようだった。

 ……なにか、緊張することでも、あるのかな。

 なんて思いながら、本当はわかってる。きっと報告だ。だとすれば私はどうしてあげるのが正解なんだろう。「やったね」とか? ああ、だめだ。結局まだ、心から祝福なんてできそうにない。

 だから閉められていたドアがゆっくりと開いて、ドアの向こう側に園ちゃんの姿が見えたとき、ブレーキをかけたように私の足の振り子運動は止まった。