だけど、気になっている。聞いて、自分が傷つくというのはわかっているのに知りたがる私って、やっぱりマゾなのかな。

 そんなことを考えながら階段を駆け上がる。ホームについた瞬間に頭上に広がったのは雲一つない空。あまりにそれが綺麗すぎて、いっそ雨でも降ってしまえばいいのにと思う。でも、雨が降ったら降ったで、私はまた伊勢谷くんを思い出す。……いや、どっちにしろ考えてるか。

 ふうっと息を吐いて、視線を地面へと落とした。もう、空は見たくないと思いながら。





 「おはよ」

 下駄箱に着いたところで梓に声をかけられる。梓とは私が伊勢谷くんと同じ電車に乗るようになってから一緒に行っていなかったけれど、どうやら今日は同じ時間だったみたいだった。

 「うん、おはよ」