時間はもう7時前。


 そろそろ学校に向かおう。


学校は7時からしか入ってはいけない。
だから7時までの間がすごく暇なのだ。


家から学校まで、歩いて15分くらい。


その間には、学校の近くにあるコンビニでいつもお昼を買っている。


今日もそのコンビニに入ってお昼を買おうと思った、その時だった。


「あの!」


コンビニに入る直前、誰かに声をかけられた。


私は後ろを向いていたから、声しかわからなかった。
男の人の声。
どうやら男の人らしい。


私は後ろを振り向いた。
すると、やっぱり男の人がいた。


その男の人は、うちの制服を着ていた。


 同じ学校の人か。
 それにしても見たことない顔。


男の人は、スラッと背が高く、スタイルがいい。
前髪は目にかかるくらいで、全体的にストレートで綺麗な髪だ。
少し茶色がかっている髪の毛で、なにかしらチャラ系が感じさせられる。


だからと言ってすべてにチャラい要素はないみたいだ。


まぁでも、簡潔に言うと、乙女が世に言う「理想の王子様」ってやつか?


私にはそうは思えないけどね。


そして、私は無愛想な顔と言い方で、こう言った。


「……なんですか。」


半分後ろを向く。


「あ、いやあの、S高ってどこかなー……って。」


S高とは、私が通っている高校だ。


 はぁ?
 なんで。
 S高って、その制服……あんたもS高じゃん。
 自分の高校わかんないとか、意味わかんない。


「……大丈夫ですか。」


 頭が。


私は、深く考えたらキツい一言を言い放った。
でも彼は、全然わかっている要素もなく、話を続けた。


「あ、俺、今日S高に転校してきて……。道に迷っちゃったんだよ。


 その制服、S高だよね?よかったら道……教えてほしいんだけど……。」


 なるほどね。
 転校生か。


私は彼の言う意味を理解して、怪しい目で見るのをやめた。


「待ってて、コンビニでお昼ごはん買ってくるから。そのあと学校、教えたげる。」


そう言って、私はコンビニに入っていった。