ゆっくりと歩く道のりを、今日はなんだか長く感じた。
周りには誰もいない。
まるで、世界に私一人しかいないような感覚だった。
見上げる空は、曇ってて、歩く道には未来がない。
下しか向かない私には、それでお似合いなのかも。
いつか笑える日は来るのかな。
私に未来は……あるのかな。
そうだ、チャットしよう。
私はケータイでチャットをしている。
暗い気持ちになったときには、いつもチャットで癒されている。
この前チャット内で1人だけ、友達ができた。
その人だけが、私の唯一の信頼できる人。
なんでも相談して、相談されて。
ちょっとでも、気持ちが明るくなれるんだ。
相手は女の人。
同い年らしい。
話もあって、楽しい。
この場所が、今の私の居場所。
カチカチカチ。
チャットの更新欄に、打ち込み始める。
『今日は足が重い。学校行きたくないなぁ。』
更新っと。
カチッと更新ボタンを押した。
すると、すぐに返事が来た。
チャットの返信の上には、名前が書かれる。
『アンル』
それがチャット上の私の友達のペンネームだ。
ちなみに、私のチャット上でのペンネームは『そら』。
『大丈夫~?でも行かないと家政婦から逃げられないんでしょ?』
と、アンルちゃん。
カチカチカチ。
『そうなの、だから学校休めない。』
『大変だねぇ。つか、もう家でてるんでしょ?私まだ布団の中だよw』
『それが普通だし!』
こういう会話が続く。
アンルちゃんは楽しい子で、元気をもらえる。
そうやってケータイをいじりながらゆっくり歩いていると少しの時間が経っていた。