心の迷路




プルル……。
プルルルル。
プルルルル。


ガチャッ。


「もしもしっ。」


私が電話した相手は……あいつ。
私のお父さん。


『……もしもし。未来か?』


お父さんの声がした。


「なんで……。なんでこんなことするの。」


『え?』


「家政婦。」


『ああ。いい人だろう。』


 何言ってんの!?


「ふざけないで!!誰がいい人だって!?あんな家政婦、ただの悪魔よ!」


『未来やめなさい。』


「何も知らないくせに。あいつ……あの家政婦、あんたが思ってるような人じゃない!最低なやつだよ。


 お願いやめさせて。」


『何があったんだ。』


「あいつ、嫌みなことばっかり言ってくる。バカにしてる。こんなのたんなるいじめだ!」


『未来。変な嘘をつくのはやめなさい。あの人はいい人だ。そんなことするような人じゃない。』


「だから、そうなんだって言ってるじゃん!とにかく、あいつをやめさせて。」


『それはできないよ。』


「どうして!だいたい、もう私とあんたは家族じゃない。なんの繋がりもない。お前が捨てたんだ。私を……。


 お前が私を捨てたくせに、自分から何か繋がりを持とうとするのやめてよ!!!」


『バカなこと言ってないで、もう寝なさい。』


ブチッ。


そこで電話は切られた。


「……。」


 意味わかんない。


私は立ったまま、ただ下しか向けなかった。


 ここまで家政婦をかばうなんて、本当に好きなの?


 それに……私の言ったことは、間違ってた?