心の迷路





10時ごろ、私はいつものように家に帰った。


すると灯りがついていた。


 なんで……?


家政婦はいつも変帰るときに消してから帰る。
……はずなのに。


 どうしてついてんのよ。


私は鍵を開けすぐさま家に入る。
リビングに走って行くと、家政婦がいた。


「……何であんたがいるのよ。もう10時過ぎてるのに。」


私は家政婦を睨みつけてそう言う。



「なによ、帰ってきて始めの言葉がそれ?」


「うるさい!なんでいるの。」


家政婦の表情がバカにするような顔から冷たい顔に変わった。


「あんたのお父さんに頼まれたのよ。」


 ……はぁ?


「なんで。」


「昨日電話がかかってきてね。「最近うちの娘はどうですか。」って。


 「10時になっても帰ってきません。」って言ったら、


 じゃあ帰ってくるまでいてくれーだって。めんどくさいわ。



 あんたのために待ってるなんて。」


「うそ……。……いやなら出て行って。今すぐよ。」


「イヤよ。いてる分だけお給料追加してくれるみたいなの。


 出て行くわけないでしょ。」


「あんた……。」


「だから帰らなくてもいいのよ?あんたが何してようと、何があろうと、私には関係ないんだもの。」


そう言って笑う家政婦。


「最低。あいつにチクって、あんたなんかやめさせてやる。」



あいつとはお父さんのこと。



「無駄よ。」


 ……は?


「あの人、私に惚れてるの。」


 何言ってんのこの人。


「はぁ?」


「私もこのまま結婚しちゃおうかしら。あなたのお父さんと。」


「バカ言ってんじゃないわよ。ふざけないで。」


「ふざけてなんてないわ。あいつ、結構お金持ってるのね。


 なんでもすぐにお金で解決しようとするわ。今のこの仕事だって。
 この家に滞在する時間を追加するだけで、高い金額も追加される。


 ふふ。だからやめないわ。こーんなにいいお仕事、他にないもの。」


いかれてる。


あいつ(お父さん)も、この人も、頭がいかれてる。


「バカじゃん。」


そう言って私は自分の部屋まで行った。


「なんですって!?」


家政婦はキレたみたいだけど、そんなの私はおかまいなし。


部屋まで行ったあと、私は携帯を取り出した。