しん、と静まる教室。


若宮くんはそんな中。


「いつか自分で気づくものだよ。」


と言ってきた。


そんなの他人にわからない。
わかるわけない。


私の事情を知らないから。


あなたの事情とは違うから。


私は教室を出て行き、屋上に行った。


「ついてこないで。」


その言葉だけを残して、教室を後にした。


屋上は誰もいない。


私一人の空間。


今は私だけの世界。


私だけの……居場所。


私はさくに腕をかけ、屋上から見える運動場を眺めていた。


 私は……どうして生まれてきたんだろう。


 何を目的として……この世界にいるんだろう。


 どうして私は……ひとりになっちゃったんだろう。


最近変な感情が芽生えてきた。
今までこんなに考えたことなんてなかったのに。


ガチャ。


屋上のドアが開いた。


「……ついてこないでって、言ったのに。」


若宮くんがいた。


「心配だったから。ごめん、俺……怒るようなこと言った?」


若宮くんは遠くからそう私に声をかける。


「言ってない。一人になりたかっただけ。」


私はまた運動場を眺めながらそう言う。


「そっか。それなら……よかったんだけど。」


「だから一人にして。私、今は誰とも話したくない。」


「……ごめん。」


若宮くんはそう言って、戻っていった。


私は一人の方がいいんだ。


誰にも迷惑をかけない。


誰とも話さなくていい。


誰にも……裏切られなくてすむ。