男たちの目は、まるで獲物を捕らえてそいつを逃がさないかのような目をしていた。
「逆ギレ。嫌われる元だよ。」
「んだとぉ!?」
リーダー的の男は私の胸ぐらをつかんできた。
私は……無表情のまま。
「殴りなよ。罪はあんたたちに降りかかるだけだよ。」
「んなもん知るかよ!」
バッと手をグーにして、男は私に殴りかかろうとしてきた。
……このまま、ボコボコにされてもいいか。
そう思って目をゆっくりつむった瞬間の出来事だった。
……殴られない。
胸ぐらにも苦しい感じがなくなった。
どういうことだろう。
目を開くと、前には、なぜかよく知っている背中があった。
若宮くんの背中が。
なん……で……。
それは一瞬だった。
目の前では、若宮くんがさっき私の胸ぐらをつかんで殴ろうとしていた男を倒していた。
そしてそれを見て次々に若宮くんに向かって行く周りの集団。
でも若宮くんは、余裕でひとりひとりと倒していった。
そしてこう若宮くんは言った。
「夏野さんに手ェ出してんじゃねーよ。」
その一言と睨み付け方で、男たちは「誰だよコノヤロー!意味わかんねー!!」と言ってみんなで逃げ出した。
私は呆然とするしかなかった。
そして、男たちを追いやったあとに、若宮くんは私のほうに振り返った。
「大丈夫?」
そう言って、頭をなでてきた。
変な気分。
守ってもらった……。
私、こんなこと、今までになかった。



