そうしてみんなが登校しはじめてきた頃。
女子はほぼ若宮くんのところに行っていた。
若宮くんは囲まれている状態で、見えなくなっていた。
私は本を読むだけ。
今日はそんな感じだった。
授業以外は。
1日が過ぎ、今日も同じように10時ごろに帰る。
私はそれを、毎日繰り返していた。
そんなこんなで、1ヶ月が経とうとしていた。
若宮くんもずいぶんと慣れてきたみたいで、はじめのギクシャク感はなくなっていた。
私と若宮くんの仲は、なぜか少しだけ深まっていた。
あんるさんとも仲良くやっている。
家政婦にはもう結構会っていない。
それでいいんだけど。
私は今日も、前と変わらない朝を送っている。
「あ、おはよう!夏野さん。」
ある朝。
いつものように若宮くんが私に声をかける。
「おはよ。」
「相変わらず笑わないなぁ。」
「大きなお世話。」
何気ない会話が恒例のようになっていた。
そうして、あとから来だすほかの人たち。
「うわ、また来てるよ。」
「ホントだキモーイ。」
「夏野未来、いつも下向いてるし暗いし。しゃべんないしねぇ。」
「そうそう!ウザイよねぇ。」
「ホント~。学校来なくていいのに。」
女子たちの会話。
もう慣れたなぁ。
私は気にする要素なく本を読んでいた。
私と若宮くんは、正反対のように思えてきた。



