家に帰ったのは10時過ぎ頃。


もう家政婦はいなかった。


 よし。
 お風呂でも入るかー。


30分後。

お風呂から上がり、すぐに寝た。


そして、夢を見た。


若宮くんの夢。


若宮くんと笑って話をしていた。
楽しい。


こんな笑える日が来るなんて、思ってなかった。


夢じゃない?


現実であって。


お願い……。


若宮くんがこちらを見て、私に手を差し伸べる。
私は、ゆっくりと手を伸ばした。


あ……れ?


届かない。


いくら伸ばしても、若宮くんの手には届かなかった。
私は必死に手を伸ばす。


やっと届いたと思った、その時だった。
本当は何もなかったかのように、スッと、若宮くんが消えたんだ。


え……?
どうして?


なんで消えちゃうの?


お願い届いて。


もう一度……手を差し伸べて。



はっ。
そこで、目が覚めた。


「夢じゃん。」


それだけ呟いて、私は起き上がった。


……変な夢。
どうして友達でもないあの人に頼るような夢見てんの。


でも……。
本当に、私は笑える日は来るんだろうか。


このままだと、一生笑えないのかも。


……ま、それはそれでいいか。
私の人生そんなモンだったってことになるだけだし。


私は立ち上がって伸びをして、リビングに向かった。