屋上。
結局、私と若宮くんは一緒にお昼を食べることになった。
「へぇ、ここが屋上か。」
若宮くんは周りを見渡して呟く。
屋上には誰もいない。
私たち2人だけ。
私はもくもくとお弁当を食べる。
……と言ってもパンだけど。
若宮くんもパンのようだ。
……!
驚いた。
若宮くん、男子なのに、ミニメロンパン2つだけなんだもん。
私は思わずこう聞いた。
「え、お昼ごはんそんだけ?」
「え、うん。これだけだよ。」
若宮くんはキョトンとした顔で答えた。
「……おなか、すかないの?」
「ん?これでフツーだけど?」
ふぅん。
なんだ、気にして損した。
……って、なんで気になんてしてんの。
意味わかんない、と思いつつ、クリームパンをほおばる。
「あ、なぁ。明日にでもさ、校舎案内してよ。」
若宮くんが急にそう言ってきた。
「他の子にしてもらいなよ。」
即答する私。
「えー、なんでだよ。」
「私なんかにしてもらわなくても、もっと他に人いるでしょ。わざわざ私じゃなくてもいいじゃん。」
「……。なんかさ、夏野さんて……。」
若宮くんが何か言いかけた。
なのに、やめた。
言葉が詰まったかのように。
「なに。」
「あ、いや、なんでも。」
若宮くんは考えるかのようにして、そう言った。



