新しく一人が加わったクラスは、なにか新鮮な感じがした。
若宮千歳。
こんなことがあるのだろうか。
あの、朝に出会った人が、まさか同じクラスだなんて。
まぁ、私には関係ないけど。
ホームルームは終わり、授業までの自由時間ができた。
予想通り、若宮くんは女子たちに大人気だった。
来たすぐなのに、なんかすご。
若宮くんは、一番後ろの席で、私は真ん中らへんの席。
そこまで離れてはいなかった。
近くで女子たちに囲まれる若宮くん。
キャーキャーという声がうるさくて、私は席を立ち上がり、教室を出て行こうとした。
「待って!!」
その瞬間、若宮くんの声がした。
私は声がしたほうに振り向く。
若宮くんの一言で、クラスは一変した。
静かな教室。
今までの雰囲気とはまったく違うかった。
なのにそんな雰囲気を気にしないで、若宮くんは続ける。
そして私のところまでやって来た。
「夏野さん、このクラスだったんだな!今日は朝ありがとう。
お礼言えてなかったから、モヤモヤしてたんだよ。」
「……別に、お礼なんて言ってもらうようなことしてないし。」
「十分お礼言ってもらえるようなことしてたよ!ありがとうな、本当。助かったよ。」
「……別に。いいし。それより、私から離れた方がいいよ。」
「え、なんで。」
「いいから。もう話しかけないで。用は済んだでしょ。女子たちが待ってるよ。」
少しの会話を終えた。
みんなの視線が若宮くんに来てる。
このまま話してたら、若宮くんが危険だと思った。
私には関係ない。
でも、私のせいでややこしいことになるのはイヤだった。
私はみんなの嫌われ者。
そんな私に話しかけたら、どうなるかわからない。
若宮くんは意味がわからないような顔をした。
友達になったって、どうせ最後は、あなたも私を捨てるのよ。