「あかり!」

高原先生の声で我にかえった。
今は生物の授業中。
なんか、ぼーっとしていたみたい。

先生がこの学校に来てから、2ヶ月が経った。
もう、みんなの人気者。いつも、先生のまわりには人が集まった。

あの日、先生は車のなかで、いろんな話を聞かせてくれた。学生のころの話とか、初恋の話とか。途中でコンビニに寄ってアイスクリームも買ってくれた。
お家について車を降りるとき、「アイスクリームと初恋の話は2人だけの秘密だよ!」って言われて、親友の友妃にも話していない。

授業が終わって、友妃と教室に戻る。
いつものように他愛もないおしゃべりをしていると、友妃が急に小声になって、私の耳元で言った。

「あかりってさ、高原先生のこと好きなの…?」

「えっ!?」

「だって授業中とかずっと高原先生のこと見てるじゃん!!」

「見てないよ!」

「いや、見てるよ!今日だって高原先生に見とれてたじゃんか~!」

えっ、私見とれてたかな!?