放課後の生物室。今日も高原先生に会いに行く。
いちばん奥の窓側。そこが先生のデスクだ。
いつも、私がドアをノックすると、先生がパッと顔をあげて、ニコッと笑いながら手招きをする。そのときの先生の笑顔が大好き。
でも、今日は先生の姿が見えなかった。

先生いないのかな…?

諦めて帰ろうとすると…

「俺に会いに来たの?」

「わあっ!!」

先生が私の耳元でささやいたので、思わず大きな声を出してしまった。
先生はそんな私を見てケラケラ笑っている。

「先生ビックリさせないでくださいよ!」

「ごめんごめん(笑)…で、俺に会いに来たわけ?(笑)」

私は何も言えずに黙った。

「ごめん、あかり怒ってる?」

心配そうな顔をして焦ってる先生が可愛くて、吹き出してしまった。

「怒ってないですよ(笑)ビックリしただけです。どこか行ってたんですか?」

「あっ、いや、ちょっと…」

「彼女と電話してたとか?」

私は冗談っぽく言った。

「えっ何で分かるの!?」

「えっ図星ですか!?」

「あっ、まぁ、そうゆうことです…」

「先生わかりやすい(笑)」

「うるさいよっ!あかり勉強しに来たんでしょ?テスト前だもんな!入っていいよ!」

先生は自分のデスクの横に、いつものように椅子をひとつ持ってきてくれた。