その時、 僕は1人の生徒が目に入った。 栗色の、ストレートに近い長い髪で、大きな瞳にピンクの頬。 あれはまるで…… 「真音――……」 僕の声は春の風によってかき消される。 僕はその子しか見えない、他の人なんて紙細工にしか感じない。 その子はこちらに向かって歩いてくる、段々とはっきり見えてくる。 ああ、やっぱり運命ってあるんだな、と僕は確信した。 その子は紛れもなく、真音だった。