ロンリーファイター




「だからってこんな酔っ払わせて…ちゃんと家まで送り届けてあげなさいよ?」

「いやー、それがさぁ俺たちこれから呑み直しに行くんだよ」

「は?」

「だから、田口のこと頼むわ!」

「はぁ!?」



西島さんたちはそう安定しない田口くんを私へ押し付け、また違う居酒屋へと歩いていく。



「丁度良いタイミングだったなー、助かったよ稲瀬!」

「何勝手に話進めてんのよ!ちょっと待っ…、って田口くん重い!!」

「うー…」

「じゃ!頼むわ!!」

「待てー!!」



そう叫び呼び止めるものの、皆は無視して去って行った。



「……」

「……」



結果その場に残されたのは、酔っ払いの田口くんとそれを支える私…。



「…しーなさん、だいじょぶっすよ。おれひとりでもかえれ…」

「ないでしょ!わかったわよ、送るわよ!!」



呂律も不安定なその姿に当然放って置けるはずもなく、私はその体を支え渋々彼の家へと向かった。