「…私ね、こう見えて元々はfem.の店員として働いてたんだ」
「え?そうなんすか?」
「うん。高校生の頃、友達の付き添いでfem.に買い物に行ったことがあってさ」
店員さんがいつも笑顔で出迎えてくれる、キラキラしたそのお店には可愛い服が沢山あって、背が高い自分には不似合いだって思ってた。
『いらっしゃいませ、何かお探しですか?』
『あ、いえ…私背が高いのでこういう可愛い服似合わないし』
『そんなことないですよ。背が高いからこそお似合いのお洋服も沢山ございますよ』
『……』
そんな私に店員さんが用意してくれた服は、白いレースに花柄のふんわりとした素材の短い丈のワンピース。
『折角足が細くて長いんですから、思い切り出しましょう』
『で、でもこんな格好初めてで…』
『慣れるまでは着づらいかもしれないですけど、慣れる頃にはきっと自信に繋がります』
そう背中を押され立った鏡の前には、見たことないような自分がいた。
『可愛い格好をすることに、臆病になっちゃダメですよ』
笑顔で言ってくれた店員さんに、その服を着るだけで自分も笑顔になれた。



