ー…
「はぁ!?あれから彼女さんが帰ってこない!?」
「……」
それから数日後の昼休み。
会社近くのカフェで昼飯を食いながら、稲瀬は声をあげた。
「だってあれからもう何日経つと思ってるわけ!?もう…二週間くらい?」
「…おー」
「連絡は?」
「一応メールは返ってきたけど」
携帯の画面に表示された『もう帰らない』の文字に、その眉間にはシワが寄る。
あの日から、二週間。
翌日目を覚ました俺は玄関で寝ていて、その時には既に律はいなかった。
仕事でも行ったのかとその時は気にせず俺も仕事へ向かったけれど、夜になっても帰ってこず…部屋を見れば、着替えや化粧品などいつもある最低限のものがごっそりなくなっており、そこで本当に出て行ったのだということに気付いた。
以来律は、ずっと帰ってきていない。



