「はい、どうぞ」
「お〜…っとっとっ、」
「ちょっと、西島さ…ぎゃっ!」
家に入ろうと田口から離れるものの、酔っ払いの俺の体はぐらりと前へ倒れた。
そんな俺の前には稲瀬が丁度居たわけで、俺を支えきれなかった稲瀬はそのまま一緒に玄関へ倒れてしまう。
「椎菜さん!」
「…いたた…」
「…〜…」
下敷きになった稲瀬に、上から被さる俺の手元には柔らかな感触。
「〜?なんだぁ?このやわらかいの〜…」
ふわふわとした気分のまま手元を見れば何と俺の手は稲瀬の胸に触れていて、その柔らかさを確認するように俺はムニムニと手を動かす。
「…あ〜…むねか…」
「……」
「いなせぇ、おまえいがいとむねあるのな〜…」
「っ〜…」
次の瞬間、顎には稲瀬の拳、後頭部には田口の拳がゴッ!!と同時に殴りつけた。



