なのにそれでもあの人の周りには人がいて、いつも誰かがあの人を頼っていて、田口くんもあの人だけに心を許している。 そんな全てが気に入らなくて、やったのは幼い嫌がらせ。 『知りませんでしたぁ〜』 それでもあの人は、反論一つせず 『…すみませんでした』 折れることもなく 『昨日稲瀬、資料作り切ったらしいぜ』 『は!?あの量を!?』 『田口も手伝ったらしいけど…すげーよな、さすが稲瀬』 『……』 乗り越えてしまうから。 『俺、あの人のこと好きっすよ』