この人は、他の人と違う。
他の年上たちみたいに甘えても、こうして構わず仕事させるし女の子たちみたいな擦り寄りも陰口もない。
以前私が…まぁ、俗に言う嫌がらせをしたことがある。その時も、この人は怒りも反論もせずに普通の顔で仕事をしてた。
鉄の心の人だと、思う。
「あ、椎菜さん」
「?涼平くん、どうしたの?」
「昼、食べました?」
「ううん、まだ」
「そう思ってついでに買ってきたっす、ホットサンド。デスクに置いておくんで食べてください」
「わざわざありがと。後でいただくね」
すると、そうお昼休憩から戻ってきた田口くんは稲瀬さんと軽く話してオフィスへ向かって行った。



