こういう人はお金持ちだしセンスいいお店も知ってて、ご飯もお酒もご馳走してくれるし、嬉しい言葉をかけるのも上手。
そんな相手にちやほやされるのは大好きだし、恋愛に発展する前のドキドキ感がいい。
互いに楽しんで過ごしてるからら悪いことなんて何もない。
「…ところで今夜、泊まって行くでしょ?」
「へ?」
「とぼけなくていいよ。そういう目的もありで来たんでしょ?」
「……ない」
「え?」
「ない。ありえない」
「えっ!?あ、綾乃ちゃん!?」
相手の言葉に一気に気分の冷めた私は、席を立ちその場を去る。
楽しければ悪いことなんてない。けど、一緒に食事していい気分にさせればすぐ出来る、そんな考えの男は大嫌い。
どんなに甘やかされても、いい気分でも
体は簡単に許さない。それだけは譲れないところだから。
(…あーあ、またハズレ)
こうして今日もまた一つ、恋の始まりを逃す。



