「……」
「……」
「…お見合い、するんだって?」
「!えっ、は…はい…」
二人きりのエレベーターで突然声をかけた俺に、彼女は物凄く驚いたようにこちらを見る。
(…話しかけただけで、驚きすぎ)
「……」
「……」
またも流れるぎこちない空気。それを拭うように、彼女がスッと差し出した手。
「…?」
その小さな手のひらに乗っていたのは、袋に入った小さな飴玉ひとつ。
「あの…お酒の匂いが、残っているので。よかったら」
「…お、おぉ。ありがと」
それだけを手渡すと、ポン、と四階に着いたエレベーターに彼女はまた先に降りて行く。
「……」
小さな、小さな後ろ姿。
それを今日も見つめて、手のひらにぎゅっと握った飴玉。



