「ベタベタ触らないで貰えます?あと椎菜さんはそのままで充分可愛いんで」 「なっ!」 「椎菜さん、行きますよ」 田口はそう俺をあしらい、椎菜を連れ先に会社へと向かって行く。 クソ、あいつらイチャイチャしやがって…!ああいいよ、独り身は一人で出勤するよ! 虚しい気持ちで見つめる先には、二人肩を並べ仲睦まじく歩く椎菜と田口の後ろ姿。 (…いいよなぁ、ああいうの) 羨ましくも思うけれど、この歳になって今更ながら知ったことがある。 多分俺は結婚に向いていない。