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「お疲れ様です、稲瀬さん!」
「…お疲れ様ー…」
そうしてやってきた新宿店。
そこは今日も相変わらず輝く『fem.』の看板の元、多数のお客様とキラキラとした服でにぎわっている。
「こんにちは!稲瀬さん!」
「ん?あぁ、佐藤さん…」
そんな中にこやかに声をかけてくるのは、涼平くんの友人・佐藤さん。若々しさ溢れる彼女は今日も明るく元気だ。
「稲瀬さん、聞きましたよ〜!涼平と付き合ってるらしいじゃないですかぁ」
「え!?どこからの情報!?」
「涼平から無理矢理聞き出しました!涼平ってこう言う話全く教えてくれないから、もう聞き出すの大変で!」
「あー…えっと、どうかこのことは内密に」
「わかってます!秘密の恋愛かぁ…しかも年の差!いいなぁっ」
「……」
『年の差』
その言葉にまた思い出すのは、昨夜のこと…
「……はぁ…」
「??どうしたんですか??」
「…えーと、実は…」
またも深い溜息をつく私に、佐藤さんは不思議そうに首を傾げる。一人で抱えるのもモヤモヤしてどうしようもなく、私はそんな彼女とバックヤードへ入って先日の一件を全て説明した。



