ロンリーファイター




「椎菜ー、誕生日祝いに一杯呑みに行くか?」

「滝さんの奢りなら浴びるほど呑みたいので、休みの前の夜に連れて行ってください」

「お前はまたそういう色気のないことを…!」

「それに私は今日も変わらず残業が…」

「あぁ稲瀬、お前今日は定時であがっていいぞ」

「へ?」



するとそれを遮るように呟いたのは、丁度部屋に入ってきた部長。



「いや、でも…」

「お前だって何だかんだ言いながら、実は誕生日を過ごす相手くらいいるんだろう?ん?」

「……」

「今日くらいゆっくり過ごせ!な!」



そうバシバシと肩を叩く部長の笑顔は、心からの気遣いというよりは『まぁどうせいないんだろうけどな。せいぜい一人で寂しい誕生日を過ごせ』とでも言うようなニヤニヤとした笑みで…



「…じゃあ、失礼します」



私は渋々、荷物をまとめ会社を出た。