ロンリーファイター




ー…



そんな日々を数日過ごし、ついにその日はやって来た。



「稲瀬!誕生日おめでとう!」

「ついに30だなー!いやー、めでたいめでたい!」

「おめでとうございまぁす。これぇ、皆で選んだんで貰ってくださぁ〜い」

「今これ売れてる本なんですよ!『絶対に知っておきたい!後悔しない結婚の仕方』!」

「…ありがとう…」



そう、それは8月某日。私の30回目の誕生日だ。



若い頃までは誕生日も嬉しかったけれど、正直30回目となればめでたさも感じない。

寧ろ毎年毎年みんなからネタの一つとして祝われ、複雑な気分にさせられる日だ。