怒ってなんてない。 寧ろ、現実を教えてくれて有難い。私はすぐ浮かれてしまうから。 あの気持ちもきっと気のせいだと、そう言い聞かせて。 「……」 その日から、私は田口くんと会話をすることが少なくなった。 「椎菜さん、コーヒーっす」 「ありがと。そこ置いておいて」 「……」 目を合わせることもなく、避けるようにする毎日。 元々これが普通だったんだ。ただの上司とバイト、それだけの関係なのだから。