「お疲れ様」
「あっ、稲瀬さん!お疲れ様です!」
訪ねる私と滝さんに、出迎えたのはfem.の服に身を包んだお店の店長とスタッフたち。
「調子はどう?」
「上旬ちょっとつまずいたんですけど、その後はもうバッチリです」
「よかったよかった」
「滝さん、こんにちは〜」
「お疲れ。今日も皆可愛いな」
「やだぁ、滝さんに言われるなんてうれしー!」
「それ滝さんの挨拶だから」
そう和やかに話しながらも見渡す店内。
店頭には今季のコンセプトを全面に出したコーディネートのマネキン。ラックには掛けられたワンピースと、棚にはサンダルが並ぶ。
(うん、いい感じ)
陳列の仕方とかは店任せだけど、若い女の子たちは大体みんなセンスがいいから上手く並べてくれるんだよね。
「そういえば新人さんが居るんだっけ?」
「あっ、はい。千夏ちゃーん!」
「はーいっ」
そう店長が呼んだ名前に小走りで寄ってきたのは、黒いショートカットの若い女の子。



