ーヴー、ヴー…
「わ!ごめん電話っ…」
そこに丁度いいタイミングで鳴り出したのは、マナーモードにしてあった仕事用の携帯。画面を見てどこのお店からの電話かを確認して、電話をとった。
「はいもしもし、稲瀬です。はい、お疲れ様。え?今日提出の書類が間に合わない?あー…じゃあ明日でもいいよ。どちらにしろ今日はもう私もあがってるし。うん。はーい、お疲れ様ー」
それだけのやりとりを簡潔にして、携帯をしまう。
「…こんな時間まで店から連絡来るんすね」
「うん、営業時間内は仕方ないよ。私の場合首都圏のエリア長も兼任してるし」
「…帰ってからも仕事漬けで、彼氏にフラれるタイプだ」
「うっ…」
「あれ、図星っすか」
「っ〜…うるさい!」
痛い所を突く田口くんに、私は食事を再開する。



