清水が生徒会室を後にしようとすると翔が引き止めた。

「あっごめんごめん。
ちょっと清水さんにお願いがあるの思い出した。」

そこ座ってーと元の場所に座らされる。

「実はね、王子様になったついでに王女様もやって貰いたいんだよ。」

「…は?」

思いっきり眉間に皺を寄せる清水に構う事なく続ける。

「清水さんも入学式で聞いたと思うけどまだ姫が決まってないんだよ。
そこでこの際清水さんで良いんじゃないかと思ってね。」

「絶対いやー。
雅人と結婚なんていやー。」

「まあ実際会長と結婚する例は多いんだけどさ。
ただ多いだけで強制結婚ってわけじゃないから大丈夫。」

「…生徒会に憧れてる奴は選り取り見取りなんだからそっちから選べば良いじゃんかー。」

清水の言葉に翔が大きく溜め息をつく。

「…僕は今年で生徒会3年目なんだけどね。
過去2年、毎年姫と会長に目の前でいちゃつかれて。
…だんだん殺したくなってくるこの気持ち分かる?」

翔の背後に禍々しい何かが見える。

「その点、清水さんはどうせ使用人としているんだし姫になろうがある意味今まで通りだ。
僕は毎年会長を殴り倒して来たけど最後の年位穏やかに過ごしたいんだよ。」

清水の背中を冷たい汗が流れる。
翔は笑顔なのに何故こんなにも恐怖を感じるのだろうか。

「清水さんなら生徒会室でいちゃつく様なタイプじゃないしね。
よろしく頼むよ。」

「いや、あの、私にも拒否権という物がですね」

「ないよ。
生徒会の人選は僕に決定権があるんだ。
選ばれたら拒否する事は認められないんだよ。」

そこで翔が清水の手を掴み握り締める。

「これから副会長同士よろしく頼むよ?」

ギリギリと音を立てそうな位強く握られている手を見て青ざめる清水。

お願いじゃなくて命令じゃねーか
と言いたかったが翔の邪悪な笑顔に頷く事しか出来なかった。