全くわけが分からない。
やっと立ち上がったかと思ったらいきなり叫びかれこれ10分はキラキラした目で見つめられている。

…いい加減にしてほしい。
本当に今日は厄日だ。

「おーい。
早く帰りませんかー?」

清水が怜奈の顔を覗き込むと怜奈の顔が真っ赤に染まる。

「…え?
何その反応…。
怖いんだけど…。」

「もう彩本当にかっこよかったよー!!
何か格闘技とかやってたの!?」

「あー昔CQCを少しねー。」

「しーきゅーしー?」

「…まあ簡単に言ったら兵士が仲間とはぐれた時に敵と出会った時の戦い方みたいなー?」

そう清水が説明しているにも関わらずいきなり怜奈に抱きつかれた。

「…あたしの王子様っ!!」

「…うん、色々間違ってるかな?
王子じゃないし。
性別違うしね。」

引き剥がそうと試みるがしがみつかれているため徒労に終わってしまう。

「ううん!!
性別なんて関係ないよ!!
大人になったらアメリカに行こっ!!
それかタイで手術受けて!!」

「ほんとごめん。
怖いから。
普通に恐ろしい提案してるからね君。」

引き剥がす事は無理だと悟った清水は怜奈を引きずって歩き出す。

通行人にガン見されているが気にしている場合ではない。

一刻も早く誰かに引き取って貰わねば。